『季節行事と和食文化』~第14回目のテーマは「カツオ節」です。
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[食の未来]通信 (隔月刊) 2016/5/27配信 vol.41
http://shoku-mirai.com/
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「食」の未来を探究する【食の未来研究所】がお届けするメールマガジン 5月号
>>> INDEX <<<──────────────────────────
1) コラム『季節行事と和食文化』~第14回目のテーマは「カツオ節」です。
2) 「食」をめぐる意識と現状-内閣府「食育に関する意識調査」より-その1
3) シリーズ「ためになる食材辞典」:第39回目のテーマは「ショウガ(生姜)」です。
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コラム
『季節行事と和食文化』~第14回目のテーマは「カツオ節」です。
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初夏と秋、年2回の旬があるカツオほど、この国の人々の食生活と密接に結びつい
てきた魚もないと思います。
当マガジンでも以前、江戸時代の“初ガツオ協奏曲”について書いたことがありました
が、今回は鮮度が命だったその魚を、日持ちさせるだけでなく、だしとして味付けのベ
ースに使うという発想の転換がなされた加工品-カツオ節を取り上げます。
最近のカツオ節はすでに削られパックされたいわゆる「削節」ですが、“花かつお”なる
商品が登場する前は、どの家庭でも固いそれを、調理のたびに削って使っていたもの
でした。 かくいう私も、子供の頃は良く手伝わされましたが、今では少し懐かしい思い
出です。
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【カツオ節と季節行事】
カツオ節は、切り口が松の木の年輪に似ていることから、松の気高さを讃えるという
意味で「松魚節」と呼ばれています。また「勝魚」「勝男節」と呼ばれることもあるように
昔から縁起が良いものとされており、祝儀や中元、歳暮の贈物として使われてきまし
た。
特に、結納や結婚式には欠かせない存在で、雄節と雌節を合わせることで夫婦一対
となり、その形が亀の甲に似ていることや、表面の黒皮、肌の笹の葉模様、先端の梅
形の削りを松竹梅に見たてることで、特に縁起の良いものとされています。結婚式の
引出物として良く登場するのは、そういった理由があるからです。
さらに、カツオは「勝つ男」、節は「武士」にたとえて『勝男武士』(かつおぶし)に通じる
ため、元気な子に育つようにと出産や端午の節句の内祝に、また「勝つ魚」に由来す
るものとして、七五三・入学の内祝、快気内祝などの贈り物としても広く使われて来ま
した。
【カツオ節の歴史】
カツオ節の歴史は古く、飛鳥時代から朝廷などへの献上品として珍重されていたよう
ですが、現在のように燻製したものをだしの元などとして広く使われるようになったの
は江戸時代になってからのことでした。
江戸中期、江戸の庶民文化が隆盛しだした頃に、現在と同じカツオ節が「堅魚」という
名で作られるようになりました。それは、「いぶしの技」を取り入れた製造方法で、この
技術を広めたのが、熊野の基太郎(もとたろう)なる人物だそうです。
以降、かつお節は急速に広まっていき、それまでの塩・醤油・味噌にカツオ節のだしを
加えた料理が、和食の基本形になったのです。
【カツオ節番付表】
カツオ節が一般庶民にも使われるようになった江戸時代には、各地の逸品をランク付
けする「諸国鰹節番付表」なるものまで登場しました。もともと江戸っ子は料亭や遊女
など様々なものの番付表を作るのが大好きでしたが、カツオ節の番付表まであったと
は驚きです。
中身を見てみますと、文政五年(1822年)の番付表では、
大関:東方 清水節(駿河)、西方 役島節(薩摩)
関脇:東方 御前節(遠州)、西方 宇佐節(土佐)
小結:東方 福島節(遠州)、西方 須崎節(土佐)
などとなっており、やはりカツオそのものの名産地が名を連ねています。
ちなみに当時は大相撲もそうですが、横綱というクラスはなく、大関が最高位でした。
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先日、NHKの「ブラタモリ」(タモリ氏が観光名所を普段とは違う視点から回る番組)で
伊勢志摩の“波切節”を紹介していました。 先の「諸国鰹節番付表」では、『行事』とし
て別格扱いにされていたように、燻すための木材までこだわった逸品だということです。
番組の中でタモリ氏がもっとも美味しそうに食べていたのは、生節と完成品のちょうど
中間くらいにあたるカツオ節を薄く削ったもので、柔らかそうな見た目と相まって、思わ
ず唾を飲み込んでしまいました。(笑)
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「食」をめぐる意識と現状-内閣府「食育に関する意識調査」より-その1
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このコーナーではこれまで、食の未来研究所が実施した「食」に関するアンケート調査
の結果をレポートしてきましたが、今回からは国が実施した最新の調査結果を紹介し
ながら、それにコメントを加えたレポートを何回かに分けて掲載します。
データは全て、内閣府が平成27(2015)年10月に全国の20歳以上を対象として実施
した「食育に関する意識調査」からのものです。
各データなどの詳細は↓の内閣府ホームページへアクセスしてください。グラフなども
あって見やすくなっています。
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/whitepaper/2015/pdf-gaiyou.html
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【食生活に関する意識や現在の食生活の実践状況】
●健全な食生活の実践の心掛け
→日頃から健全な食生活の実践を心掛けている人は、4人に3人(76.8%)いること
がわかりましたが、男女間では若干の差があり、女性が84.9%なのに対して、男性
は66.1%という結果が出ています。
●栄養バランスに配慮した食生活の実践状況
→主食・主菜・副菜をそろえて食べることが1日に2回以上、「ほぼ毎日」あると回答
した人は約6割(57.7%)にも上りましたが、その一方で若い世代(20~29歳)は約4
割しかなく、全世代よりも栄養バランスにあまり考えない食生活を送っている人が多い
ことがわかりました。
●食育への関心度
→食育に『関心がある』と回答した人は全体で4人に3人(75.0%)でした。また、関
心のある内容についての問いに対して、若い世代では「食事の正しい作法を習得す
ること」や「食を通じたコミュニケーション」について、他の世代よりも関心を持ってい
ることがわかりました。
●家族との共食/地域等での共食
→家族と一緒に暮らしている人のうち、「ほとんど毎日」家族と一緒に食事をとってい
るのは、朝食では2人に1人、夕食では3人に2人であるという結果でした。
→一方地域や所属コミュニティーで食事の機会があれば参加したいという人は、2人
に1人で、食事会等へ参加した人の感想としては、「コミュニケーションを図ることが
できた」、「楽しく食べることができた」との回答が多い傾向にありました。他方、食事
会等へ「参加していない」と回答した人に、参加する条件を尋ねたところ、「友人や知
人からの呼びかけ、誘いがあること」、「食事会等が参加しやすい場所で開催される
こと」、「食事会等が参加しやすい時間に開催されること」と回答した人が約半数を占
めました。
●生活習慣病の予防や改善のための食生活の実践
→生活習慣病の予防等に気をつけて「食生活を実践している」人は、全体で約7割
(69.4%)いましたが、その中身を見てみると色々な傾向があることがわかりました。
→まず、生活習慣病の予防や改善に関する具体的な食生活として、もっとも気をつ
け・実践されていた内容は、「野菜をたくさん食べるようにすること」で8割以上の人
がそのように答えています(複数回答)。
→一方、減塩や脂質の調整については「気をつけていない」と回答した人は約4人
に1人の割合でいることがわかり、同じくそれらを「実践していない」と答えた人は、
実に約3人に1人の割合でいることがわかりました。
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この先、まだまだ調査報告は続きますが、この段階でわかることは、人々の食生活に
おいて、『理想』と『現実』の間に隔たりがあるということです。
つまり、「食べること」の重要性や「健康を考えた食生活」の必要性はわかっているも
のの、現実的にはそれがなされていないのではないか、ということです。
私もそうですが、心あたりがある人も多いのではないかと思います。次回以降、その
点にも着目しながら調査結果を見ていきたいと思います。
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シリーズ「ためになる食材辞典」:第39回目のテーマは「ショウガ(生姜)」です。
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子供の頃に、「なぜ、あんなモノを大人は美味しいと言って食べるのだろう?」と疑問
に思ったモノのひとつに『谷中しょうが』がありました。
私が育った三河地方では、初夏に出回るそれは単に『しょうが』であって、『谷中』など
といったおしゃれな名前はついていなかったのですが、大人たちはそれに、三河地方
特有の“赤みそ”(豆味噌)を少しのせて、ボリボリと食していたのです。
それが東京では『谷中しょうが』と呼ばれているというのは、居酒屋などで飲み歩くよ
うになって初めて知ったのですが…今では(もちろん)好物のひとつになりました。尚、
関東地方では、“白みそ”を添えて出されるケースが多いのですが、“赤みそ”の方が
ならではのコクとほのかな渋みのせいで、『谷中』にはよく合うと思います。
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食の素材辞典 No.39 【ショウガ(生姜)】
●産地と属性
ショウガ科の多年草。
漢字では「生姜」と書く。古名は「クレノハジカミ」、英名は「ジンジャー」。
原産地は熱帯アジアや、インドとされるが、野生種は見つかっていない。
旬は6月から8月だが、貯蔵することで、一年中出荷される。
日本では関東より西の地方で多く栽培され、主な産地は高知県と千葉県、和歌山
県。
根茎部分を使用するが、生のものはおもにアジアで用いられている。
欧米では乾燥させた「ジンジャー」(和漢名:乾姜)を使用するのが一般的。
古くから、生薬として中国人やヒンズー教徒によって栽培されていた。
アラビア商人によって東洋からヨーロッパに伝えられた、最初のスパイスといわれ
ている。
日本へは縄文時代に伝わったといわれるが、文献で確認されているのは平安初
期。
古名のクレノハジカミは、ハジカミ(山椒の古名)と同じように辛みがあり、中国の
呉時代に日本に伝わったことで名づけられた。ショウガと呼ばれるようになったの
は、江戸時代に入ってから。
伝わったころには香辛料や調味料としてだけでなく、はちみつや砂糖に漬け込ん
だ保存食が、高級品として扱われていたといわれる。 強い殺菌作用があるので、
寿司や刺身などの生ものに添えられる。
薬味に用いると、食中毒の予防だけでなく、生臭さを消すことができる。
生のショウガには、たんぱく質分解酵素が含まれているので、肉をやわらかくする。
●栄養成分の働き
栄養成分よりも、独特の辛み成分や香り成分に薬効がある。
主な辛み成分のジンゲロンやショウガオールには、血行をよくし、体を温める働き
がある。新陳代謝を活発にし、発汗作用を高める。 殺菌作用によって、食中毒を
予防する。
香り成分は、シネオール、ジンギベレンなど200種類以上含まれている。爽やか
でスッキリとした香りは食欲を増進させたり、気分をリラックスさせる。疲労回復、
夏バテ解消に役立ち、解毒作用、消炎作用もある。また、料理に用いて食材の臭
みを消したり、味を引き立てる。
辛み、香り成分ともに強力な抗酸化作用がある。活性酸素を除去して老化を防ぎ、
がんを予防する。
タンパク分解酵素であるジンベインには強力な消化酵素で、タンパク質の消化吸
収を助け、胃腸を守る。
●栄養成分
カロテン、カリウム、カルシウム、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2
●注意点
辛味成分や香り成分は皮の近くにも多く含まれているので、皮ごと用いる。もしくは
スプーンの先で薄くむく程度にする。
●ポイント
皮が白くなるまで乾燥させ、新聞紙に包み冷暗所に置いて保存するか、すりおろし
たり小さく切ったあと、冷凍保存するのがよい。
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★ショウガを使った料理と言えば・・・真っ先に思い浮かべるのは「豚肉のショウガ焼」
ですが、豚肉とショウガほど愛称の用組み合わせはない!と思っているのは、私だ
けではないはずです。(笑)
調べたことはないのですが、ひとくちに「ショウガ焼」といっても色々なものがあり、
少し厚めのロースをシンプルにショウガ醤油のタレで焼いた、少~しお上品な料理
-これは時に「ポークソテー」という名称になっている場合がある-から、小間肉を
たっぷりのタマネギ(そして時に隠し味としてのニンニク)と一緒に炒めた定食屋の
オカズ風のものまで、大体はハズレがないのがこの料理の大きな魅力です。
★それから、薬味としてのショウガが絶対に欠かせないのが、関西系の“粉もん”料理
で、「お好み焼」はともかく、「紅ショウガ」が使われていない「たこ焼き」と「ソース焼き
そば」の“腑抜け感”は想像を絶するものがあります。(笑)
目立たないけれど、いないと絶対に困る-ショウガは料理の“名脇役”なんですね。
★若山博士がまとめられた当研究所の「食材辞典」。食材について「これ何だっけ?」
とか、「この食材を調理する場合は、何に気をつけたら良いんだ?」などと思った時は
ぜひアクセスして、ご活用ください。季節野菜などに関する情報もたくさんあります。
食材辞典は↓コチラです。
http://shoku-joho.com/jiten/
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